ユニホーム(ユニフォーム)と素材(繊維・生地)
みなさんはユニホーム(ユニフォーム)を選ぶ際、素材(繊維・生地)に注目されますか?それとも、素材(繊維・生地)などはあまり気にせず、価格やデザインなどで選びがちでしょうか。おそらく、これらは男女で違いがあるのではないかと思われます。というのも一般的に、男性は、素材や機能といったものを重視するのに対し、女性は男性よりも、価格やデザインなどに左右されやすいと言われているからです。
さて、少し話は変わりますが、例えば、事務服のカタログを見てみますと、商品1つ1つにきちんと素材(繊維・生地)が記されています。しかし、それが女性ファッション誌になると、1つ1つの商品に素材(繊維・生地)が記されていることはまずありません。それは、なぜか。もちろんレイアウト上の問題もありますが、目的が違うからではないでしょうか。女性ファッション誌は、ファッションというだけあって、その見た目やデザインなどが重視されなければなりません。したがって、当然、どのようにコーディネートする、どのように見せる、といった視点で商品が紹介されていくことになります。 しかし、ユニホーム(ユニフォーム)としての事務服では、それとは少し様相が違います。もちろん今では、デザイン性に優れた事務服がたくさん登場しており、事務服の概念が少し崩れていくような、そんな商品たちがあふれていますが、やはりユニホーム(ユニフォーム)に求められる意味・機能を考えなければなりません。 基本的には、お仕事着となるわけですから、実務性・快適性・機能性のあるものでなければならないのです。ですから、素材(繊維・生地)がきちんと記されているのですね。
それでは、今回は素材(繊維・生地)に着目した、ちょっとしたマメ知識をご紹介します。
ユニホーム(ユニフォーム)に使用される素材(繊維・生地)
さて、ユニホーム(ユニフォーム)には実際どのような素材(繊維・生地)が使われているのでしょうか?先に事務服のカタログのお話をしましたので、まずは、事務服を例にとって見てみたいと思います。
事務服のカタログをざっと見たところ、目によくついた素材(繊維・生地)は、やはり綿とポリエステルでしょうか。どうやらこの2素材(繊維・生地)は、季節に関係なく使用されているようですね。また、秋冬になるとこの2素材(繊維・生地)に毛が加わってくる感じでしょうか。しかし、ユニホーム(ユニフォーム)を構成している素材(繊維・生地)は、これだけではありません。他にも、ほんの数%〜数十%にいたるまで、その比率は異なるものの、レーヨン、ウール、コットン、アクリル、ポリウレタン、アセテート、キュプラ、ナイロンとまあ、たくさんのものが存在しています。 なぜ、そんなに?という話ですが、これは先述のユニホーム(ユニフォーム)の機能という点に関わりがあると考えられます。まずお仕事着ですから、仕事がしやすいものでなければなりませんよね。そのため、ストレッチ素材(繊維・生地)など、伸縮性は大事な要素になります。また、毎日着るものですから、すぐダメになってしまう貧弱なものでは、着ている方としても困ってしまうので、当然丈夫さも必要なわけです。さらに言えば、毎日着るのに不快な事務服であったら、こんなもの着ていられるか、という話になるので、快適性のあるものが好まれます。 まあ、このようなことを言ってはきりがないので、この辺にしておきますが、そうなると、「じゃあ、丈夫で、伸縮性も快適性もある素材(繊維・生地)は何なの?」ということになりますが、残念ながらこれは一概には言えません。なぜなら、素材1つ1つには、やはりいい所と悪い所があるからです。したがって、それらを上手に混合するなどして、伸縮性や強度といった機能性を生み出さなければなりません。
ここまで、事務服に使用されている素材(繊維・生地)について触れましたが、では作業服ではどうでしょうか。
結論から申し上げますと、基本的には、事務服とほとんど変わりはありませんでした。しかし、綿100%と目立つように大きくページで表示されているものもあり、事務服よりは綿素材(繊維・生地)が多く目につきました。なぜでしょう?これには、やはり素材(繊維・生地)の特性と、作業服という関係に秘密が隠されているようです。
事務服と作業服、そしてそれらを作り上げている素材(繊維・生地)。次では、ここで述べた素材(繊維・生地)に具体的に触れながら、ユニホーム(ユニフォーム)について考えていきたいと思います。
ユニホーム(ユニフォーム)の好まれる素材(繊維・生地)
まず、ユニホーム(ユニフォーム)に使用される主な素材(繊維・生地)について簡単にご説明しておきましょう。
まずは、綿。長所としては、肌触りがよく、吸収性に優れ、強度も強めといった点があります。一方の短所としては、縮みやすくシワになりやすい、型崩れしたすい、また長時間日光にさらすと、黄色く変色してしまうという特徴があります。 次は、ポリエステル。長所としては、シワになりにくく、型崩れもしにくい、縮みにくく、強度は綿よりも強めです。短所は、汚れると落ちにくく、通気性もあまりよくない、静電気が起きやすいといったところです。
ユニホーム(ユニフォーム)の多くを構成している綿とポリエステル。読んでいただいてお気づきになられたかと思いますが、綿の短所とされている部分が、ポリエステルの長所ともなっているように思えませんか?
さて、この2素材(繊維・生地)を見ただけでも、いろいろと推測することが可能です。作業服に綿100%が多く目につく訳。それは、綿の特徴から想像するに、やはり丈夫で、汗もよく吸収してくれ、肌触りがいいことがあげられるのではないでしょうか。当然、作業もすれば汗もかく、吸水性の悪い素材(繊維・生地)では、ユニホーム(ユニフォーム)の快適性という部分に欠いてしまいますよね。 事務服ではどうでしょう。事務服は、作業服を着て作業される方よりも汗はかかないと思われますから、作業服と同じように汗を吸収する必要もありません。どちらかといえば、デスクワークで、あまり動かない、一日中パソコンとにらめっこというの方も多いのではないでしょうか。 そのように考えると、ポリエステルのようにシワになりにくく、型崩れもしないものの方が良いと思いませんか?また、毎日着るものですから、丈夫でないと困りますよね。
先のトピックでも述べましたが、各々の素材(繊維・生地)も一長一短。良いところも悪いところもあり、それらがうまく組み合わさり、着る人にとって「心地いい」ユニホーム(ユニフォーム)となっていきます。 そのために、様々な素材(繊維・生地)を混合し、また、編み方などとの組みあわせで機能性を生み出し、それをさらに高めていくのです。
今まで、素材(繊維・生地)など気にしたことなどない、という方。ちょっとだけ素材(繊維・生地)に目を向けてみると、また、違ったユニホーム(ユニフォーム)の見え方ができるかもしれませんよ。
化学繊維の特徴に関しては、日本化学繊維協会にてご覧いただけます。